肉厚でフルーティー、旬を迎える「新玉ねぎ」 淡路島産・有機栽培に注目
2021/5/25
食の宝庫と呼ばれる兵庫県の淡路島で、特産の新玉ねぎが旬を迎えている。
玉ねぎの栽培、それも農薬や化学肥料を使わない有機(オーガニック)栽培に取り組む新家青果・三代目社長の新家春輝さんにお話をうかがった。
新玉ねぎの特徴のひとつは「生のままでもおいしい」こと。一般に新玉ねぎといえば、“甘い”というイメージが強い人も多いだろうが、実は通年で出回る玉ねぎの方が甘みは強い。ただし、その分「からみ」も強いため、からみが弱い「新玉ねぎ」の方が、甘く感じるという。
さらに新家さんは、自社で採れる新玉ねぎについて「有機栽培なので安心はもちろん、一般的な新玉ねぎと比べても、よりフルーティーでエグみが少ない。丸かじりできるほど」と話す。
また、「実の分厚さ」にも注目したい。玉ねぎは品種によって、鱗片(玉ねぎの実の部分)の枚数が異なるのだが、新家青果で有機栽培している玉ねぎの品種のひとつ「七宝」は、淡路島で55パーセントほど栽培されている品種「ターザン」よりも、同じ大きさでも枚数が少なく、その分一枚一枚が分厚くなっている。分厚いからかたいという訳ではなく、その分、水分を豊富に蓄えているので、“シャキシャキ”とみずみずしく柔らかい。
新家さんは、「まずはサラダにして、素の玉ねぎを味わってもらいたい。また、実の分厚さを活かした『玉ねぎステーキ』でも楽しんでもらえたら」と、にこやかに語った。
新家青果が、なぜ有機栽培をはじめたのか。これには、淡路島の玉ねぎ栽培量が関係してくる。玉ねぎの一大生産地と言われている淡路島だが、ピーク時と比べると現在、半分まで減少。新家青果は、1952(昭和27)年に青果物の仲卸会社として創業したが、この現状を受け、新家さんは「淡路島の玉ねぎを守らなければ」という思いから「卸し」だけでなく「栽培」も手掛けることに。
「せっかく自身で玉ねぎ栽培を行うのならば、周りの玉ねぎ農家の模範となれるように」と、環境に良く、安全に食べることができる「有機栽培」に目を付けた。当初、周りの農家からは、「有機栽培は無理だ」と言われてきたそうだ。
有機栽培に取り組むにあたり、新家さんが大切にしているのが「土づくり」。種をまくまでの期間に、“栄養を蓄えることができること”、“水分を多すぎず少なすぎず保持できること”、“土中の微生物のバランスを保つこと”など様々な要素を兼ね備えた土づくりを行うことで、玉ねぎを健康に育て、病害虫に強くすることを実現している。
今後の課題について、新家さんは、「手間暇やコストがかかること、収穫量が上がらないことへの課題があるため、他の農家の方も有機栽培をやりやすい方法を見つけて、道を作っていきたい」と前を向いていた。
新家青果の「淡路島産有機新玉ねぎ」は、コープ自然派で今月から取り扱いがスタート。加入した組合員のもとへ届けられている。有機栽培の安心はもちろん、その甘さ、実の厚さを堪能できる、淡路島の新玉ねぎ。旬の今だからこそ、味わい深いものとなる。
この記事はラジオ関西トピックス【ラジトピ】に掲載された記事です。ラジオ関西の許可を得て、コープ自然派のホームページにも掲載をしています。
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