これぞ伝統製法 歴史ある蔵で微生物が醸し出す醤油
2022/5/6
訪問日:2022年5月6日
訪問者:コープ自然派商品部 堀内
香川県小豆島にある醤油蔵「ヤマヒサ」。蔵の近くを歩くと醤油の香ばしい香りがあたりに漂っていました。今回案内頂いたのはヤマヒサの3代目、植松社長です。
「和」の醤油には、「和楽器」を
蔵の中は薄暗く、まさに『伝統』という言葉がぴったりの雰囲気で、筝曲が流れていました。先代社長が「ワイン醸造所等でクラシック音楽を聴かせている」という話を聞き、醤油は「和」だから「和楽器」だ、ということで約40年前から筝曲を流しているそうです。
蔵の中はいくつかの部屋にわかれており、濃口醤油、薄口醤油、頑固な手作り醤油などが醸造されていました。樽の中の醤油は、熟成度合いによっても表面の様子が異なっていました。
職人の手作業による櫂入れ(かいいれ)
熟成中の醤油は、発酵の具合を見ながら櫂入れと呼ばれる攪拌を行うそうです。夏の発酵が盛んな時は3~4日に1 回、秋冬など気温が下がり発酵が落ち着くときは混ぜる頻度は少ないとのこと。
1つの樽で、2~3人で約30分ほどかかる櫂入れ作業。樽の中は塩水部分と固形部分で分かれているため、菌が働きやすいように、発酵が均一に進んでいくように馴染むまで混ぜるそうです。
蔵の菌がヤマヒサの醤油の味をつくる
国産丸大豆と国産小麦を原料に、昔ながらの杉樽でじっくり1年以上『自然発酵』させるヤマヒサの醤油づくり。なんと、杉樽の保有量は日本で3番目の数だそうです。
蔵にはたくさんの菌が棲んでおり、発酵に必要な菌と、そうでない菌がいます。それが複雑で重厚な味わいの醤油、つまりヤマヒサの醤油(蔵の味)を作っています。
植松社長の「ヒトは菌が働きやすい環境を整えるだけ。ヒトが味をつくるのではなく、代々住み着いている蔵の菌がヤマヒサの醤油の味をつくる」という言葉がとても印象的でした。
醤油の熟成に1年以上。醤油を絞り、火入れや濾過など、商品になるまで約1か月。原料の大豆や小麦の確保まで考えると、組合員の皆さんの手元に届いた醤油は、その3年以上前から造り始められています。ぜひ一度、ヤマヒサの蔵の味を堪能してください。
ヤマヒサの商品
天然醸造杉樽仕込み醤油・こい口
天然醸造杉樽仕込み醤油・うす口
杉樽仕込・頑固なこだわり醤油・薄口
豆しょう・卓上