オーガニックテキスタイルの寝具メーカー ハート

2024/5/7

訪問日:2023年12月11日
訪問者:コープ自然派商品部 堀田、福本、三戸田

ハートは創業1988年以来、赤ちゃんから大人まで、すべての人に安全で安心な暮らしを提供できるよう、オーガニックテキスタイルの開発を進めている寝具メーカーです。
2009年には国際認証機関エコサートよりGOTSを取得。寝具メーカーとしては、日本では初めてになります。
今回は、そんなハートの工場を見学してきました。

はじめに、オーガニック生地の裁断と縫製です。
1枚の布団を作るのにおよそ1時間がかかるため、生地の自動裁断機の導入を進めたり、1つの工程を一気に行うことで掃除回数を減らしたり、時間のロスを減らすよう工夫されています。

また、商品開発をする際に、どのような展開図にすればいいのかなどの相談も、縫製スタッフも含めて一緒に開発を進めています。

次に、綿の成形と綿入れです。
成形する機械の中にブラシが入っており、軽いものは先へ、重いものは下に落ちていくようになっています。下に落ちたものはそのまま廃棄するのではなく、もう一度機械に投入することで原料のロスを減らしています
通常の製法だと2~3割がロスになってしまいますが、これによってロスを1割以下に減らすことができます。

さらに、この残った綿をハートの製品である「ととのうクッション」の芯に入れることで、貴重なオーガニックの綿を無駄にしないようにしています。

そして、ほぐされた綿をローラーでシート状に加工して、綿の密度を調整しシート状に重ねていきます。綿入れ作業では、ローラーで成形した綿シートを、機械と手作業の両方を駆使して布団生地に入れていきます。

続いて、布団のキルティングとヘム付けです。
キルティングとは、中の綿や羽毛などがずれないようにステッチで押さえる手法のこと。
機械を使用し、1枚15分ほどかけて縫っていきます。ポリ糸ならもっと早く完成しますが、肌への刺激を考え綿の糸で塗っていきます。
気候によっては途中で切れてしまうこともあるので、機械を使っても難しい作業です。

この後、余分な部分を切り落としながら縁を布テープで縫っていくヘム付けをします。「そんなに難しくないですよ」とおっしゃっていましたが、案内していただいた製造部長・川田さんしかできない難しい作業です。
こちらでも残った端切れは無駄にせず、綿は最初の製綿機へ、布も保管してエシカル製品に再利用しています。

検品、検針作業では、機械に通す前に必ずきちんと金属探知できるか、ダミーで確かめてから行うことで機械のミスも防いでいます。また人の目でも、縫い目まできっちりとチェックしていきます。

蛍光検査では、製品自体に使用していなくても、なんらかの要因で付着してしまう場合があるので、そういったものをはじくことで皮膚の敏感な方や赤ちゃんなども安心して使える品質になります。
ハートの製品は、縫い糸からタグまで無蛍光にこだわっています。こうしてブラックライトの検査まで終えて、ハートの製品は完成します。

工場で製造した商品は本社で保管・管理されます。
商品の出荷はすべて本社から行っているとのこと。商品数が年々増加していることもあり、棚ごとに商品を仕分け、番号を割り振ることで、誰が見てもわかるように在庫の管理をするよう工夫されています。

最後に…
工場・本社ともにスタッフみなさんで出迎えてくださいました。商品も1枚1枚手作業の部分が多く、スタッフみなさんがそれぞれ商品に対して真摯に向き合っている姿勢を感じました。
また、製造スタッフも含めてざっくばらんに意見を出し合って商品開発をしているそうで、取組に対して前向きなことが印象的でした。工場の各工程にSDGsの取組マークが掲示されており、個々が行っている作業がどういった意味や影響があるのかを普段から意識づけするように工夫されているそうです。

その他にも、縫製が得意な方がハギレを活用して出荷スタッフの帽子やエプロンを作っていたり、普段の業務の垣根を越えてそれぞれができることを取り組まれていることが良くわかりました。こういった取組が商品の品質維持につながっているのではないかと思います。

ハートの商品 一例

シングル・オーガニックたっぷり8重織ガーゼケット

独自の製法で8重に織り込んだガーゼケットです。ボリュームのあるふんわり感で肌なじみがいい手触り。

ハート

本麻ダウンケット

薄くて軽く、使い心地は季節を選ばずいつでも気持ちいい。丈夫な麻の生地は大切に長く使える特別な1枚になります。

スーパー体圧分散敷ふとん

寝返りがしやすい体圧分散敷ふとん。自宅で洗えてるので清潔に使えます。

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