ゲノム編集食品は
いらない
遺伝子組み換え食品もゲノム編集食品もいらない!
遺伝子組み換え技術に代わる新たな技術として研究が進む「ゲノム編集技術」。遺伝子組み換え食品やゲノム編集食品はまだ不明な点が多い未完成な技術であり、様々な懸念があります。
しかし、ゲノム編集食品については事業者の届け出は任意、食の安全性審査や環境影響評価、表示義務もない現状では、消費者の知らない間に流通してしまう可能性があり、消費者の知る権利、選択できる権利は奪われています。
コープ自然派では、食の選択を守り、知らないうちに「ゲノム編集食品」が食卓に上ることのないよう「OKシードプロジェクト」にも参画し、反対運動をすすめています。
知らない間に流通してしまう!?不透明な「ゲノム編集」食品
ゲノム編集された生物が規制なく自然界に流出し、交配を重ねると、食の安全や環境に想定外の悪影響と及ぼす恐れがあります。
ゲノム編集とは?どこに問題があるの?
ゲノム編集とは?
「ゲノム編集」の「ゲノム」とは生物の持つ遺伝子(遺伝情報)全体のこと。
「ゲノム編集」は遺伝子の特定の部分を切断・破壊したり、別の遺伝子と置き換えたりする技術です。
例えば、豚のミオスタチン(筋肉の成長を抑制する遺伝子)を壊すと成長が速く、筋肉ムキムキ豚ができ、生産量を増やせます。逆に、成長ホルモンに関する遺伝子を壊された豚は小さなマイクロ豚になり、すでにペットとして販売されています。
また、米国ではゲノム編集の「高オレイン酸大豆」がすでに栽培され、市場に出ています。これらは、遺伝子組み換え作物同様、日本に輸入される可能性があります。
ノーベル賞を受賞したクリスパーキャス9って?
2020年のノーベル化学賞は、「ゲノム編集」技術の代表格「クリスパー・キャス9(ナイン)※」の開発者が受賞しました。「クリスパー・キャス9」の最大の特徴は狙ったゲノムの場所を簡単に正確に操作することができ、すでに医療や農業などの研究などにも用いられています。
しかし、ノーベル賞受賞者を選考するスウェーデン王立アカデミーは、ゲノム編集技術は人類に大きな恩恵をもたらすとする一方、ヒトの遺伝情報の書き換えまでもが容易に行えることから、『人類は新たな倫理的課題に直面することになる』ともしています。その他、2019年、「クリスパー・キャス9」開発者たちを含む18人の科学者・倫理の専門家たちは、英国の科学誌「ネイチャー」の公式ホームページ上で、人の生殖細胞へのゲノム編集技術の使用のグローバルな禁止を訴えています。
※遺伝子の案内役である「ガイドRNA」が遺伝子の指定の場所を指示し、ハサミの役割を持つキャス9(酵素)を組み合わせて使い、目的の遺伝子を切断し、切断した遺伝子の働きを失わせたり、切断部に別の遺伝情報を挿入することで遺伝子を編集する技術
遺伝子組み換え技術との違いは?
遺伝子組み換えもゲノム編集も遺伝子を操作する点では同じですが、以下のような違いがあります。
ゲノム編集の安全性は?
「クリスパー・キャス9」の登場で、基礎的な遺伝子工学の知識があれば簡単にゲノム編集ができるようになりましたが、ねらった遺伝子とよく似た配列を、間違って破壊してしまう危険性があります。
狙った的をはずして遺伝子を破壊するため、「オフターゲット」といいます。
何十億もあるDNAを100%正確に切断することは難しく、想定外の遺伝子変異を起こす可能性や、これらが規制なく野外環境で飼育・栽培された場合、生態系や食の安全に対して想定外の悪影響を及ぼす可能性があります。
日本での規制はどうなっているの?
ゲノム編集にはいくつかの種類があります。
食品への応用で研究がすすんでいるのは、「タイプ1(SDN-1)」の技術です。
国は遺伝子を切断してその働きを止めただけのものは、自然界で起こりうる突然変異と区別がつかないとして、環境影響評価や食品安全性審査の対象外としています。
なお、ゲノム編集技術で他の生物の遺伝子を挿入したものは遺伝子組み換え作物と同様、規制の対象となります。
海外ではどうなっているの?
ゲノム編集食品を遺伝子組み換え食品と同様に扱うかどうかは、各国で判断が分かれています。
世界的に政府・多国籍種子企業は積極推進の動きですが、EU※1とニュージーランド※2は市民団体が裁判に持ち込んで規制を勝ち取っています。
※1 2018年7月、欧州司法裁判所が「遺伝子組み換えと同様に規制すべき」とする司法判断を下した。2016年にフランスの農民団体は、ゲノム編集などの新育種技術で作出された品種が遺伝子組み換えに該当するかについてフランス政府の判断を求め、これを受けてフランス政府が欧州司法裁判所の判断を求めていた。
※2 2013年、ゲノム編集技術を用いて作った樹木(マツ)を政府は規制対象外としたが、環境NGOが提訴。2014年5月に判決でNGOが勝訴。
コープ自然派は「OKシードプロジェクト」の賛同団体です
2021年、ゲノム編集技術で品種開発されたトマトが市場に出回るようになりました。安全性審査も表示義務もないため、私たちには今後、知らないうちにゲノム編集商品を食べてしまう可能性があります。
このようなゲノム編集食品の状況に懸念を持つ農家や市民が集まり、2021年7月に「OKシードプロジェクト」が立ち上がりました。
「OKシードプロジェクト」は、ゲノム編集でない種子や農作物、加工品に「OKシードマーク」を自主表示し、広げていく運動です。ゲノム編集問題を一人でも多くに知ってもらい、食の安全を守る活動や表示の義務化につなげていくことを目的としています。
コープ自然派もこの賛同団体になりました。
さらに、2021年10月から商品案内(カタログ)には、トマトとトマトを主原料とする加工品で、ゲノム編集ではないと確認できた商品には、「OKシード」のマークを自主表示しています。