子どもたちのいのち、
自然、日本の農業を守りたい!!
生産者とともに!
ネオニコフリー
ネオニコチノイド系農薬不使用(ネオニコフリー)への取組
洗っても落ちない「浸透性」と長期に残留する「残効性」に加え、「神経毒性」が強いことが分かり、生態系や人間への脅威となっている殺虫剤「ネオニコチノイド系農薬」。
世界ではネオニコチノイド系農薬禁止の動きが進んでいますが、日本では残留基準値の緩和等、世界の動きに逆行しています。
コープ自然派では、2010年よりネオニコチノイド系農薬排除を掲げ、商品案内(カタログ)には2017年より農産物(野菜・果物・お米)のネオニコチノイド系農薬の使用状況を表示しています。
ネオニコフリー
栽培や流通上の問題点を共有しながら、生産者と協力して排除していきます。
商品案内に表示
農産物について、商品案内(カタログ)にネオニコチノイド系農薬の使用状況を表示しています。
情報発信
ネオニコチノイド系農薬がもたらす危険性や問題点について、情報発信し問題提起します。
残留農薬検査
「事前の使用申請の無い農薬が検出されない」よう定期的に検査を行っています。
知っておきたい!ネオニコチノイド系農薬
まずは動画を見てください。
ネオニコチノイド系農薬とは…
ネオニコチノイド系農薬って何ですか?
ネオニコチノイド系農薬は、1990年代、「虫に効くけれどヒトには安全」という謳い文句のもと、有機リン系農薬に代わり普及した農薬(殺虫剤の一種)です。
タバコの有害成分ニコチンと似ているので、ネオニコチノイドという名前がついています。
ネオニコチノイド系農薬の特徴は次の3つ。
1回使えば殺虫効果が持続し、結果として農薬使用量が少なくてすむため、ネオニコチノイド系農薬は、環境保全型を謳う一部の農産物にも使われいるのが実情です。
【ネオニコチノイド系農薬の成分名】 イミダクロプリド、チアメトキサム、クロチアニジン、アセタミプリド、チアクロプリド、ジノテフラン、ニテンピラム、スルホキサフロル、フルピラジフロン、トリフルメゾピリム、フルピリミン ※ フェニルピラゾール系農薬(主にエチプロールとフィプロニル)もネオニコチノイド系殺虫剤とともにミツバチの大量死の原因として疑われている。 |
ネオニコチノイド系農薬は神経伝達を狂わす
ネオニコチノイド系農薬の殺虫作用は、昆虫の中枢神経の伝達物質であるアセチルコリンの受容体に結合し、アセチルコリンの働き(正常な神経物伝達)を阻害することによって、昆虫を死に至らしめるものです。
※ネオニコチノイド系農薬には複数の種類がありますが、どのネオニコチノイド系農薬も神経伝達物質を受け取るアンテナ(受容体)に結合して、正常な神経伝達を阻害する点では同じ
神経伝達物質アセチルコリンと受容体はヒトでは自律神経・末梢神経に多いものの、記憶や学習、情動など中枢神経でも重要な働きをしています。
このため、ネオニコチノイド系農薬のヒトの健康への影響、とりわけ成長過程にある子どもの脳の発達への影響が懸念されています。
子どもたちへの悪影響
ネオニコチノイド系農薬は、90年代半ばから世界各地でミツバチ大量死の原因ではないか?と指摘されたことで世界で注目されるようになりました。
ミツバチはネオニコチノイド系農薬で脳の働きが狂い、方向感覚を失い、巣に戻ることができなくなると考えられています。
その後研究が進み、ヒトでも特に成長過程にある子どもの健康な発達、とりわけ脳発達への悪影響が懸念されています。
【これまでに発表された研究・論文】
2013年 | ・黒田洋一郎、木村-黒田純子『自閉症・ADHDなど発達障害増加の原因としての環境化学物質-有機リン系,ネオ二コチノイド系農薬の危険性』を発表 |
2016年 | ・名古屋大の研究グループは、日本の子ども(3歳児、223名)の尿中から有機リン系、ピレスロイド系殺虫剤代謝物とともにネオニコチノイド系農薬が80%で検出と発表 |
2019年 | ・北海道大学などの研究グループは出生直後の尿からアセタミプリドの代謝物質を検出しネオニコチノイド系農薬が母体から胎児に移行する可能性を示唆した世界初の研究結果を発表 ・北海道大学などの研究グループはネオニコチノイド系農薬の母体から胎児への移行や日本人のネオニコチノイド系農薬農薬曝露源が食事であることを明らかにした研究成果を環境化学討論会で発表 |
生活のすみずみにネオニコチノイド系農薬…
ネオニコチノイド系農薬は農地や森林だけでなく、シロアリやゴキブリ駆除、ペットのノミとり、ガーデニングなど、住宅でも多く使われています。
【ネオニコチノイド系農薬の成分名】 イミダクロプリド、チアメトキサム、クロチアニジン、アセタミプリド、チアクロプリド、ジノテフラン、ニテンピラム、スルホキサフロル、フルピラジフロン、トリフルメゾピリム、フルピリミン ※ フェニルピラゾール系農薬(主にエチプロールとフィプロニル)もネオニコチノイド系殺虫剤とともにミツバチの大量死の原因として疑われている。 |
食べなければネオニコチノイド系農薬は体の外へ!
ネオニコチノイド系農薬は水溶性で、口に入れなければ、ほぼ体の外に出ていきます。
2019年、ネオニコチノイド系農薬を使わない食べものに5日間変えると、通常の市販食材を食べたときに比べて体内のネオニコチノイド系農薬の量は約半分、1ヶ月続けると94%減るという調査結果が出ました。
特に、子どもの復活力は大きく、正常な体の状態に戻れば、そこから正しい発達が始まることが期待されます。
世界はすでに脱ネオニコチノイド系農薬へ
世界では、農薬の使用が人の健康や環境に危険を及ぼすことのないよう、予防原則に基づく取り組みがすすめられています。
一例を紹介します。
【EU】
2018年4月、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサムの3種類のネオニコチノイド系農薬のハウスを除く屋外における全面使用禁止を決定。フィプロニルは2017年9月登録失効。
【フランス】
2018年、9月より全てのネオニコチノイド系農薬の全面禁止。
※2021年から3年間に限定しテンサイのウイルス病防除に種子処理を認められた。
【米国】
2015年、4種のネオニコチノイド系農薬(イミダクロプリド・チアメトキサム・クロチアニジン・ジノテフラン)の新規登録を禁止など規制強化。
【韓国】
2014年、3種のネオニコチノイド系農薬(イミダクロプリド・チアメトキサム・クロチアニジン)のの新規・変更登録禁止。
【日本】
2015年以降、ネオニコチノイド系農薬(イミダクロプリド・チアメトキサム・クロチアニジン・アセタミプリド)の残留基準緩和。2017年、ニテンピラムの残留基準値を低減。
※各国の対応は流動的なため本情報の内容から更に変更されている可能性もあります。
緩すぎる日本の残留農薬基準値
日本のネオニコチノイド系農薬問題のひとつは、日本の残留農薬基準が世界各国に比べて極端に緩いことです。
国際社会が規制強化、禁止の措置を取る中、日本だけは2015年から2017年かけてネオニコチノイド系農薬(イミダクロプリド・チアメトキサム・クロチアニジン・アセタミプリド)の基準緩和を行いました。
特に大きな緩和があったのが「アセタミプリド」と「クロチアニジン」です。
ネオニコチノイド系農薬「アセタミプリド」の残留基準値(ppm)
2018年9月現在
食品 | 日本 | 米国 | EU |
イチゴ | 3 | 0.6 | 0.05* |
リンゴ | 2 | 1.0 | 0.8 |
ナシ | 2 | 1.0 | 0.8 |
ブドウ | 5 | 0.35 | 0.5 |
スイカ | 0.3 | 0.5 | 0.2 |
ブドウ | 0.5 | 0.5 | 0.2 |
食品 | 日本 | 米国 | EU |
茶葉 | 30 | ** | 0.05* |
トマト | 2 | 0.2 | 0.2 |
キューリ | 2 | 0.5 | 0.3 |
キャベツ | 3 | 1.2 | 0.7 |
ブロッコリー | 2 | 1.2 | 0.4 |
ピーマン | 1 | 0.2 | 0.3 |
*検出限界以下、**輸入茶のみ暫定値(2010年2月)
出典:NPO法人 ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議「新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間[改訂版(4)2018]」
ネオニコチノイド系農薬「クロチアニジン」の残留基準値(ppm)の推移
2009年基準→2015年施行基準 | |
ホウレンソウ | 3ppm→40ppm(約13倍) |
かぶ類の葉 | 0.02ppm→40ppm(約2000倍) |
みつば | 0.02ppm→20ppm(約1000倍) |
シュンギク | 0.2ppm→10ppm(約50倍) |
パンフレットで学ぶネオニコチノイド系農薬
マンガで知るネオニコチノイド系農薬
コープ自然派の取組
有機(オーガニック)・無農薬栽培やネオニコフリーを選ぼう!
組合員さん自身が「見て、判断して、利用する」ことができるよう、商品案内(カタログ)にマーク表示
コープ自然派では、2010年からネオニコチノイド系農薬の危険性について、生産者と消費者がともに学び、ネオニコチノイド系農薬不使用(ネオニコフリー)に向けて取り組んでいます。
2017年度から、商品案内(カタログ)のネオニコ問題に取り組む生産者の農作物に「ネオニコチノイド系農薬不使用マーク」・「ネオニコチノイド系農薬削減中マーク」を表示。現在は、野菜・果物・お米・一部加工品(例:ジャム・ゼリー・ジュース・茶)も表示対象としています。
ネオニコチノイド系農薬不使用(ネオニコフリー)に取り組む生産者が増えています。
安心・安全を願う組合員の声に応え、ネオニコフリーに取り組む生産者が増えています。
農薬に頼らない農作物を買い支える人がいるからこそ、生産者は作ることができます。
ネオニコチノイド系農薬不使用(ネオニコフリー)に取り組む生産者の声(一例)
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JA東とくしま
たくさんの生きものが田んぼにやってこられるよう、米の栽培を持続可能なものにしながら環境保全も同時にやっていくことを使命と考えています。
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阿波農産
「野菜の管理」は私は人間に例えたりします。…私の畑では農薬を使っていませんが、その基準には「食べてもらいたい人」の存在があります。
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マルサカ有機生産組合
子どものころから「手のひらを太陽に」の歌が好きでした。この歌にあるとおり、人間だけが生きているわけではありません。
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園川農園
農薬の進歩とともに生態系の変化が起きている中で、子どもたちに自然を取り戻すために、農業の持つ有機物の循環機能を生かし、生産性との調和を考えています。
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自由個性集団あくと
見た目や形と言った商品価値ではなく、美味しくて何よりも安心して食べられる、そういう作り方にこだわりを持ちたいと思います。
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自由個性集団あくと
コープ自然派との意見交換や勉強会、さらには子どもが生まれて気づかされた「安心への追求」とあくと全体の「意識改革」があり、今に至ります。
加工品にもネオニコチノイド系農薬不使用(ネオニコフリー)の安心を!
田畑でできたものを余すことなくおいしく食べることは、安心・安全の食べものづくりを支えていくための大切な要素。
コープ自然派ではネオニコチノイド系農薬不使用で栽培された産直農産物を使った加工品の開発も積極的に行っています。
ネオニコチノイド系農薬不使用(ネオニコフリー)の産直農産品を使用した加工品(一例)
ミニカップ
ゼリーりんご
※津軽産直フーズの
りんごを使用
天然熟成醸造
生味噌
(無農薬栽培
大豆使用)
天然醸造生
有機みそ
ツルをよぶ
純米料理酒