アニマルウェルフェアを拡げよう                                                                                              ~コープ自然派の生産者の取組を紹介~

  • アニマルウェルフェア

10月28日、とかちプラザ(北海道十勝市)にて、「第18回資源循環型肉牛生産シンポジウム」が開催されました。「持続可能な食料生産システムを考える」をテーマに、北海道農政局や北海道大学の研究者からの講演とともに、「消費者目線で持続可能な食料生産システムを考える」と題して、コープ自然派が話題提供を行いました。

共同購入から続く産直運動や、食と環境とを一体的に考える商品政策・農業政策、そして国産オーガニックに向けた展望などを紹介。シンポジウム出席後は北海道の生産者を訪問し、アニマルウェルフェアの取組を確認してきました。

産地訪問レポート

北十勝ファーム ~有機認証を取得

今夏ついに有機JAS認証を取得した北十勝ファーム。全体の1割、約40頭が対象ですが、有機飼料を安定的に給餌するための手配や栽培に大変な労力が掛かっています。

「牛と人との信頼関係を大切にし、牛との接し方は家族への接し方に近い」というお話の通り、牛は人を怖がる様子もなく悠々自適に過ごしています。また、帯広畜産大学と共同で牛肉の味わいの数値化の研究にも取り組み中。生産者としてお肉が「美味しい」ことも大切にされています。

※有機JAS認証の牛肉は来年秋頃から出荷予定です。

放牧の様子
代表の上田金穂さん

北海道短角牛小間切れ

  

夏は山で、冬は里で、ゆったりと優しく育てられた牛です。

大野ファーム ~健康な牛づくり~

北海道芽室町で大規模に約4000頭を飼育している「未来とかち牛」の大野ファーム。「健康な牛づくり」のため、地域内循環の農業生産を実践。牛ふん堆肥を畑で利用する有機農業に取り組み、飼料を栽培して再度牛肉生産に利用しています。

また、飼料には米ぬか、ビール粕、ハーブなどを加えることで、旨みたっぷりのお肉に仕上がるようにしています。さらに、ふん尿を使ったバイオガス発電と売電に取り組むなど、環境問題に大きな関心を寄せています。

未来とかち牛
社長の大野泰裕さん

未来とかち牛肩ロースサイコロステーキ

  

遺伝子組み換え飼料・抗生物質不使用で育てました。

希望農場 ~広大な大地で放牧~

放牧豚を生産する「希望農場」。北海道厚真町で放牧飼育の取組を始め早15年となります。広々とした放牧地では豚が自由に行動。天気がいい日でしたので、非常に気持ちよさそうにしている表情がうかがえました。

放牧地に隣接する豚舎もバイオベッド(発酵床)など衛生的でストレスフリーな環境。一般豚より1か月ほど長い約210日の期間を掛けて、甘みがありさらっとした脂が特長の引き締まった肉質のお肉となります。飼料もNON-GMOで抗生物質は与えない安心の豚肉です。

放牧豚
社長の清野光弘さん

放牧豚 肩ロース焼肉用

  

北海道の広い放牧場でのびのび育てられた安心・安全な希望農場の放牧豚。

アニマルウェルフェアに取り組む生産者は他にも!

生産者の皆さんからコメントを頂きました。

七星食品

アニマルウェルフェア(AW)を重視した豚肉の生産

  

AWは、今や世界中の動物衛生の向上を目的として、その動物の生涯に関わる身体的・心的状況が重要視されています。当社では、豚をより快適な環境で飼養してストレスや疾病を大きく軽減させることで生産性の向上や安全で美味しい豚肉の生産にもつながることから、今後も、AWを重視した飼育管理に努めて行きます。

  
豚は好奇心が強く、周囲の環境に敏感に反応します。不要なストレスを与えたり怪我をさせないよう日々丁寧に取り扱うことをスタッフに指導し、スキルアップを図っています。

  

海部龍次

自然豚モモしゃぶしゃぶ用

  

赤身が多く、しっかりとした歯ごたえをお楽しみいただけます。

イシイフーズ

オーガニックチキンを見据える

  

当社では、鶏の健康状態や飼育環境等を毎日確認し、成長に合わせた温度管理、照明の設定、適切な換気、必要な飼料・水を提供してストレスを軽減できる様に努めています。これからも、健康な鶏を育てることで皆さんに安心・安全な商品を継続してお届け出来ると考えています。

  
将来のオーガニックチキンを見据えた「放牧神山鶏」も年明け後に企画される予定です。そちらもぜひご賞味ください。

  

阿部毅

神山鶏手羽元

  

骨付き肉の旨み。肉に少し切り目を入れると、味がしみ込み火も通りやすくなります。

たむらのタマゴ

PHFの次の取組に向けて

  

アニマルウェルフェアに沿った飼育については、平飼いの実現に向けて準備していますが、衛生管理などがとても難しい課題だと感じています。

  

薬をまったく使用しない飼育は長年の積み重ねで確立してきましたので、その方法がアニマルウェルフェアに沿った飼育に通用するかどうか、今後も多くの実験を積み重ねてPHFの考え方にも沿った取組をしたいと考えています。

  

田村智照
PHFコーンを使った「たむらのタマゴ」の飼料
プリッとしたハリが特長です

PHF白卵10個

  

非遺伝子組み換えのPHFコーン・大豆油かす、国産玄米(飼料米)を約3%与えて育てた鶏の卵です。

公開:2021年11月29日
商品案内37号[2021年12月3回]掲載

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