• 国産派宣言
  • 有機・オーガニック

人間の目で見える大きさの限界は0.1〜0.2mm。髪の毛1本くらいの太さだといわれます。それより小さなものは目に見えませんが、空気中や土の中、私たちの体内にもたくさんの「菌」がいます。菌は物ではなく、れっきとした生きもの。食べものにも棲み着いて、色々な変化を起こします。小さいけれど私たちの生活に欠かせない、菌ちゃんの世界を見てましょう。

食材をおいしくしたり長持ちさせたり、人間にとって良い働きをする菌が食べものづくりに活躍します。

「発酵」は菌のはたらき

私たち人間と同じように、菌も食べものを食べて生きています。例えば、麹菌(カビの一種)が大豆のタンパク質を食べて、アミノ酸(人間が食べると旨みを感じるもの)をつくり出すと、大豆は味噌に変化。人間はこの変化を「発酵」と呼び、昔から食べものづくりに利用しています。

お寿司の酢飯にも使うお酢。伝統的なつくり方は時間がかかります。

  

まずはお米からお酒をつくります(お酒も「お米+酵母菌」の発酵食品)。そしてお酒に酢酸菌を入れて発酵させるのにかかる時間はなんと2ヶ月以上。

  

その間、たくさんの酢酸菌たちがお酒のアルコールを酢酸(お酢)に変化させているのです。

  


自然派Styleマイルド純米酢

  

国産米をじっくり丁寧に醸造・熟成させ出来上がりました。

黒酢

  

国産玄米を使用。酢酸菌の力をかりてゆっくりと発酵させ、じっくりと熟成させることでまろやかな味わいに。

畑も発酵する?

「発酵」が役に立つのは食べものだけではありません。野菜を育てる畑でも重要な役割を持ちます。森や林の中の自然の土では、動物の死体や落ち葉が菌に分解され、植物が根で吸収しやすい形の栄養に変化します。人間がつくった畑では自然に栄養素が出来にくいため、菌を畑に入れて様々な栄養をつくってもらう必要があるのです。

野菜の生産者さんに、菌の使い方を聞きました。

大雪を囲む会 吉井さん(にんじん)

Q. 畑ではどれくらいの量の菌を使っていますか?

A. 8月の収穫後の秋、200a(甲子園球場の約半分の面積です)に米ぬか2000kgと、菌がいっぱい入った自家製たい肥10000kgを畑にまきます。

  

北海道は冬に雪が沢山降りますが、土の中では菌が米ぬかやたい肥をえさにして冬中活動してくれるのです。春に畑を耕して土の中に空気を入れると、一段と菌が活発に働きます。秋に入れた米ぬか・たい肥はにんじんを種まきする4月には粉々に分解されています。年中休みなく働く菌たちに感謝です。

  

有機にんじん

  

えぐみがなく甘みがあり、子どもにも人気。

のらくら農場 萩原さん(ケール)

Q. 菌の働きを利用するために、どんな材料を畑に入れますか?

A. のらくら農場のケールは栄養の王様のようです。抗酸化力という体を若く保つ力や、ガンになりにくいとされる力があります。どれくらいすごいかというと、普通に売られているにんじんの50~100倍くらいあります。それくらいすごい栄養にするには、菌ちゃんを味方につけないとできません。

  

今年は、お酒をつくるときにできる酒粕を畑に入れました。酵母という土をふわふわにする菌が活躍しています。

  

やみつきケール

  

濃い旨みで、苦みは強くありません。

ORGANIC SMILE 鳥越さん(ピーマン)

Q. 畑の土づくりを行う前に「土壌分析」を行うと聞きました。どのような方法で行いますか?

A. 土作りをする前に私たちが普段からしている土壌分析は、実際に実験などで使われる試験管や試薬を使って、土の中に入っている栄養分のバランスを見ます。

  

私たちの骨を作るために必要なカルシウムや、血を作るのに必要な鉄分なども野菜にとって大切な栄養分になるので、この土壌分析で過不足を調べて、足りない分を土に入れて土作りをしていきます。そうすることで健康な土ができ、おいしい有機野菜が育ちます。

  

有機ピーマン

  

苦みが少なく甘みがあるジューシーなピーマン。

公開:2022年8月1日
商品案内20号[2022年8月3回]掲載

国産派宣言の記事一覧

有機・オーガニックの記事一覧