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「視察報告」
2022年12月19日~21日
コープ自然派では2022年1月10日に社会福祉法人「コープ自然派ともに」設立準備委員会を発足し、社会福祉法人の設立に向けて動いています。
目指しているのは、障害のあるなしにかかわらず「ともに生きる」誰もが安心して暮らせる地域社会。利用者のケアと農産物などの生産が両立する農福連携で、有機農業の推進や、生物多様性、動物福祉(アニマルウェルフェア)の実現に向けて社会福祉法人「コープ自然派ともに」の活動をすすめていきます。
今回は社会福祉の取組を先進的にすすめている「あいコープ-みんなの輪-」を訪問し、生協と社会福祉事業との連携モデルの視察を行いました。
「あいコープ-みんなの輪-」作業所名の「わ・は・わ」は、人と人との「輪」、人と自然との「和」そのふたつの「わ」をつなぐ「輪=和」を意味しています。 |
社会福祉には様々な事業があります
生活介護事業 | 比較的障がいの重い利用者が、自立した生活を送ることができるように訓練や創作、運動などを行います。 |
就労継続支援(B型)事業 | 比較的障がいの軽い方が、作業を通じてスキルや働く意欲を高め、対価である工賃をもらいながら社会的自立をめざします。 |
共同生活援助事業 | 介護を必要とする方のグループホーム。入浴・排せつ・食事等の介護や、調理・洗濯・掃除等の家事、その他の必要な日常生活上の支援や援助を行います。 |
短期入所事業 | ショートステイともよばれ、1泊2日の短期で障がいのある方を預かる事業。 |
日中一時支援事業 | 放課後デイサービスのような支援学校の放課後夕方まで障がいのある方を預かる事業。 |
「わ・は・わ大衡(おおひら)」
生活介護事業・就労継続支援(B型)事業・短期入所事業・日中一時支援事業
社会福祉法人みんなの輪の法人本部も兼ねる「わ・は・わ大衡」は、多様な障害者福祉事業を行う複合施設で、木材をたっぷり使ったとても居心地の良いスペースです。利用者は約40名、職員は10名。比較的重度の方は作業や創作やリクリエーションをしたり、疲れたときには自由に休憩したりします。
就労継続支援B型では、パイ、フィナンシェ、マドレーヌ、米粉クッキーなどの焼き菓子を製造し、あいコープなどに卸しています。「利用者がその日に自分でやることを決めることが大切!」がモットーで、うまくいかないときは「お願い」という形で調整しサポートしています。フローチャートを見ながら衛生管理や包装作業を行い、靴の色を荷受け所と出荷所で分けて菌を持ち込まないようにするなど様々な工夫もされていました。
障がいのある方のショートステイ事業は、家族が入院したときなどの緊急避難的な入所も受け入れています。
コープ自然派おおさか 上野恵美
「パン工房わ・は・わ」
就労継続支援(B型)事業
活動モットーとして、「作業の生産性を高めて高い工賃をめざす」「パンの製造を通して仕事への意識や作業能力向上を目指す」「生活リズムを整える」「コミュニケーションを図る場にする」を掲げているパン工房。組合員に米粉を活用したおいしいパンを届けることから始まっています。
利用者は26名、パートの方が12名。色々な障がいのある方がいますが、こちらで働くには衛生面を守れることが条件。仕事の内容は成型や分割、丸め、計量、皮むき、選別など様々。配置は得意なことをしてもらうように職員が決めているそうです。
訪問時は丸める作業やピザパンに具をのせる作業など、皆さん手際よく慣れた手つきで作業をされていました。安心な食べものを作るお仕事、そしてみなさんが一生懸命作ってくれたパンを組合員が楽しみに待っている、そんな関係が自然と感じられました。
コープ自然派兵庫 正橋裕美子
「あいあいファーム わ・は・わ田尻(たじり)」
生活介護事業・就労継続支援(B型)事業
「わ・は・わ田尻」は、養豚、養牛を行なっている畜福連携の事業所です。施設には10か所の豚舎があり、豚は広さ80㎡の豚舎に20頭ずつ飼育されていました。バイオベッドは匂いもなくフカフカで、エサには大豆や飼料米に加え、福祉事業所で製造しているパンの残渣や作業中に出る煎餅などの割れクズも。赤牛と黒牛が8頭放牧されていて、エサは95%が地元の草だそうです。
全く未経験から養豚を始めたため、3年間は試行錯誤だったそうですが、作業をルール化して役割を設け、利用者の得意なことをやってもらうことで熟練を増しているそうです。現在利用者は18名。仕事を通じてやりがいを持つことが一番とのことでした。
コープ自然派おおさか 藤井優
「グループホームいちご」
「わ・は・わ味明(みあけ)」
共同生活援助事業・短期入所事業
生活介護を受けている利用者が暮らすバリアフリーのグループホームです。定員は4名+ショートステイ2名。食事やお風呂などの介助や、家事、相談など、24時間体制でケアを行なっています。「障がい者も、障がい者の親も『ふつう』に暮らせないのはおかしい」という視点で語られる言葉の数々が印象的でした。
暮らす「家」は最も大切な施設のはずですが、いまの国の制度では報酬が極端に少なく、ショートステイとグループホームの報酬改定は喫緊の課題だそうです。私たちも一緒に声を上げていきたいと思いました。
就労継続支援(B型)事業
米粉の製粉、農園・援農、軽作業などを事業として行っています。
施設横のビニールハウスでは5月〜10月にミニトマトを出荷し、協力農場のお手伝いもしています。米粉の製粉は、年間14トンほど「パン工房わ・は・わ」やあいコープなどに出荷しています。
コープ自然派しこく 立川悦子
「わ・は・わ美里(みさと)」
生活介護事業・日中一時支援事業
「わ・は・わ美里」は重い障がいを持つ人もおられ、きめ細やかなケアを行っています。農作業やいちごジャムの製造といった就労支援については「わ・は・わ南郷」の利用者が作業に来られています。
訪問時はちょうど収穫期で、隣接するハウスで栽培されたいちごや製造されたいちごジャムは、あいコープみやぎの組合員へ供給されています。(いちごジャムは年間6,000個製造)食品加工は衛生管理と安全に最善の注意が必要で、随所に利用者目線の掲示がされていました。
障がいの種類や程度、年齢も違う利用者一人ひとりの個性を大切に、常に利用者とその家族の立場で必要なサポートを考えられていて、利用者の方は明るく楽しく過ごされていました。
コープ自然派京都 柴垣千春
公開:2023年2月20日
商品案内49号[2023年3月2回]掲載