• 国産派宣言

森・川・海…豊かな自然に囲まれている日本。地域ごとに様々な食文化が育まれ、その土地に合う食べものが作られてきました。そして作る人と食べる人の距離が近いことが当たり前でした。

しかし現在、食べものがたくさんあふれてはいるものの、誰がどのような製法で作っているのか見えにくくなっています。作る人(生産者)と食べる人(消費者)、お互いの顔が見える関係性を築くことが食の安心安全につながります。

効率優先の製造が当たり前になっている中、国産の原料を使い、伝統製法にこだわって丁寧に商品づくりに励む生産者がいます。これは誰がつくっているのか、生産者のことを想い浮かべながら食卓を囲んでいただけると幸いです。

太子屋 大西尚希さん

「絹ごし豆腐」は滑らかな口当たりの豆腐で、豆乳ににがりを加えそのまま固めたきめ細かい豆腐です。豆腐用包丁を使って豆乳とにがりを合わせる昔ながらの製法により、豆乳の温度、にがり量、固める繊細さを大切にしています。

  

豆腐は、日本の食文化の一部として長い歴史を持ち、これからも食卓に寄り添い続ける重要な食材だと思います。伝統製法と味わいを守るだけでなく、新しいアイデアや技術を取り入れ、持続的な発展を目指して、次の世代に受け継いでもらいたいと思います。

固めた豆腐を丁寧に切り分けます

絹ごし豆腐(太子屋)

  

なめらかな絹ごし。湯豆腐、冷やっこにもおすすめ。

島原本舗 山下直さん

愛媛県南西部の宇和海で水揚げされた小魚を原料に、包丁で頭と内臓を1尾づつ取り除き小骨と皮ごと石臼で擂り潰したすり身を香ばしく揚げた「宇和島じゃこ天」は、小魚の風味満点のソウルフードです。

しかし、温暖化による海水温の上昇を受けた小魚の漁獲量の減少、また地元の人口減少による漁業従事者の減少、加工品製造に従事する作業員の確保など、現代ならではの問題点も抱えています。さらに、原料魚の高騰による製品価格の上昇などにより、原料へのこだわりや手間をかけた製造が難しくなりつつあります。

現在では全国的にも珍しくなってしまった「鮮魚からの練り製品づくり」ですが、今後も業界全体で繋いでいきたい文化です。お召し上がりの際に商品の物語に想いを馳せられるよう情報の発信を行うとともに、何より美味しい笑顔をお届けできるよう、日々精進します。

宇和島じゃこ天

  

宇和海、豊後水道でとれた小魚がしっかりと味わえる『じゃこ天』。

ヤマヒサ 植松勝久さん

ヤマヒサでは「生産者である前に消費者である」の理念のもと、国産丸大豆、国産小麦、天日塩(外国産)を原料に使い、昔ながらの杉桶で醤油を製造しています。ステンレスタンク等の中で人間が発酵を管理して作る醤油が主流になる中、人手や時間がかかるためにコストが高くなる伝統製法の醤油を評価してくれるコープ自然派と早くからお付き合いすることができたため、ヤマヒサではいまだに伝統製法で作る醤油が主流です。

古い蔵や桶、製造設備などの保守・管理は大変ですが、できる限り本物の醤油づくりを続けていきたいと思います。

天然醸造杉樽仕込み醤油・こい口

  

お刺身、冷奴などのかけ醤油から、煮炊きものまで幅広くお使いいただけます。

のだみそ 中川雄策さん

のだみそ(別名:桝塚味噌)は昭和3年に創業、まもなく100年になります。今は僅かとなった天然醸造による木桶熟成(全体の5%)造りを創業以来、守り続けています。味噌の熟成・発酵をすすめ、味に深みと拡がりを醸してくれるのは、昔から大事に守ってきた木桶や蔵に住む、酵母菌、乳酸菌など様々な有用な菌たちのお陰です。

また、四季の移り変わり経て自然の温度変化の中で熟成させる天然醸造にこだわり、ゆっくりじっくりと1年6ヶ月以上の長い時間をかけながら、「味噌はつくるものでなく、育てるもの」という想いで味噌を育てています。

自然派Styleまめみそ(生)

  

愛知県産大豆と塩のみを使用。木桶で1年半以上発酵・熟成させた天然醸造の生の豆みそです。

竹内商店 竹内太一さん

荒節の天日干しの様子

「本枯節」は、香りも味も最高の鰹節です。熱々のごはんの上に鰹節をのせて食べる場合、醤油は不要。ごはんの熱で鰹節の香りと旨みが強く感じられます。これぞ相乗効果です。鰹節を削って食べた子どもたちは口をそろえておいしいと言ってくれるので、本当にうれしいです。また、鰹節を削り器で削ることに対してとても真剣に取り組んでくれます。これぞ、日本人に生まれ、高知で育ったからこその風景と考えています。この風景が次世代につながっていくよう願っています。

「花吹雪」は、高知水揚げの鰹を使用。削り方は、どんな料理にも馴染みやすい「粉砕削り」です。節の花は細かく、削り節の表面積が多いので、香りがより引き立ちます。2018年には、「第64回全国水産加工たべもの展」にて「大阪府知事賞」を受賞しました。

本枯節

  

カビ付けと天日干しを繰り返し、4~5ヶ月かけて作りました。まろやかで雑味の無い味、穏やかな香りを楽しんでください。

土佐のかつおの花吹雪

  

高知県近海で、伝統の一本釣り漁で獲ったかつおをじっくり焙乾。旨みが詰まった荒節を削りました。

公開:2024年5月27日
商品案内11号[2024年6月2回]掲載

国産派宣言の記事一覧