• 国産派宣言

日本は四方を海に囲まれた島国です。しかし近年、日本の漁獲量は減少傾向にあります。その大きな理由が乱獲と地球温暖化と言われています。

豊かな海を未来へ渡していくためには、必要な種類の魚を必要な大きさで必要な分だけ獲ることが大切です。また、地球温暖化による海水温の上昇により、魚の生息場所も変化しています。そのため獲れる魚が変わったり、豊かな漁場であった藻場が消失したり、これまでとは異なる漁業が強いられているところもあります。

日本の漁業生産量の推移は?

魚離れもすすんでいます

2022年度の1人1年間当たりの魚介類消費量は22.0kgと2001年(40.2㎏)をピークに減少を続けており、2011年度に初めて肉が魚介を上回りました。

  

海の豊かさを守ろうと取り組んでいる生産者

コープ自然派には海の豊かさを守ろうと取り組んでいる生産者がいます。今回はその取組と、近年の海の変化について伺いました。

【キョーワ】脂イワシをアップサイクル

未利用魚「脂イワシ(カタクチイワシ)」の活用は、環境を守る取組として注目されています。従来、脂質の多い脂イワシは、煮干し加工では品質を低下させるため、漁業者に敬遠されていました。そこで脂イワシを蒸し煮にして急速凍結する「釜揚げいりこ」が開発されました。

この方法により、脂イワシは美味しく冷凍食品として全国への流通が可能になりました。さらに、「釜揚げいりこ」は、原料のカタクチイワシの量を「いりこ(煮干し)」に比べて約4分の1に抑えることができ、環境負荷の軽減や水産資源の保護にも貢献します。このような取り組みは、離島漁業と海洋環境の持続可能性を両立させる一助となっています。

  

 近年の海の変化 

  

海水温の上昇やプランクトンの変化により、脂質の多い脂イワシが増加しています。これは従来の煮干し加工を困難にさせ、漁師たちにとっては厄介な存在となっています。しかし、新たな加工法「釜揚げいりこ」の開発により、脂イワシの有効活用と環境保護が進められています。この取組の応援をお願いします。

キョーワ 加地正人さん

釜揚げいりこ

  

香川県伊吹島で漁獲し塩茹でされたカタクチイワシです。

【九里】未利用資源を美味しく加工

長年の仲卸業務で培った目利きと柔軟な加工で、獲れた魚を廃棄することなく、漁師さん達に適切な価格で還元できる循環型の水産加工を目指しています。

サバやサンマなどの大衆魚が激減していますが、黒鯛のように増えている魚もいます。今まで食べていた魚種の偏りをなくし、今まであまり目に留まらなかった魚でも、少し加工すればおいしくなります。

  

このような魚を増やし、大衆魚を獲る機会を減らし、海の中の魚のバランスを整えることができるように、小さい活動ですが取り組んでいます。

  

 近年の海の変化 

  

地球温暖化や黒潮大蛇行だけでなく幼魚を取りすぎていることも、今後の水産業の発展を思うと不安に感じます。日本の水産業について本気で考える時が来ていると思います。

九里 九里貴彦さん

黒鯛ドライトマトオイル漬

  

国産の黒鯛にドライトマトやにんにくを合わせ、オイル漬けにしました。

【マストミ】延縄漁で獲るマグロ

マグロは、世界の人口増加や後進国の経済発展などを背景にした需要の高まりから来る乱獲による資源(マグロ)の減少が、近年特に問題視されています。マグロの漁法は効率的に漁獲できる巻網漁が急激に増えていますが、これは未成魚の固体数の減少に直結し、マグロが少なくなることを意味しています。世界的に漁獲規制等が設けられ、強化されつつありますが、まだ世界各国の海で資源(マグロ)の自然回復力を超えた漁獲が続いています。

これまでマグロの恩恵を受けマグロと共に歩んできたマストミだからこそ、持続可能な水産資源として、マグロを守る漁法でもある延縄漁で漁獲したマグロにこだわり続けなければならないと考えております。

  

 近年の海の変化 

  

地球温暖化に伴う海水温の上昇や海流の変化から、食物連鎖の頂点にいるマグロのえさとなる魚の生息域が変化しており、それを追うマグロ回遊ルートも影響を受け、マグロの漁場が移動しているようです。これは遠洋漁業やマグロに限らず、身近な日本近海でも同じような生態系の変化が起こっています。

マストミ 佐川和也さん

自然派Styleメバチマグロネギトロ

  

原料は良質のメバチマグロと非遺伝子組み換えの菜種油のみ。

【明神水産】一本釣り漁の鰹

船首や船側に立ち、一本の釣竿で次々と鰹を釣り上げる「一本釣り漁法」。一本釣りの鰹は、一尾ずつ釣り上げるため身の傷みが少ないのが特徴です。漁獲方法として群れを「一網打尽」にする巻網漁法がありますが、一本釣り漁法は一定の節度を持って漁をすることにより資源の持続可能性があります。

本商品は水産エコラベルであるマリン・エコラベル・ジャパン認証を取得しており、一本釣り後船上凍結した高鮮度の鰹を土佐伝統の「わら焼き製法」で焼き上げています。添付の天日塩を振り掛けて、わら焼きの風味と鰹の旨みをぜひ味わってください。

 近年の海の変化 

  

近年海水温の上昇や海流の変化など海の環境が急速に変化しており、回遊魚である鰹の漁獲場所にも影響が出てきていると感じています。また、海外の巻網船などの乱獲により鰹資源の減少がある中、漁獲場所の影響がさらに漁獲に追い打ちをかけている状況です。その中でも一本釣り鰹を使用するなど、資源の保護に努めています。

明神水産 涌井流さん

わら焼きかつおタタキ(南方かつお)<天日塩付き>

  

年末から初夏に漁獲される南方のかつおを、土佐伝統のわら焼きでたたきに仕上げました。

【雄武漁業協同組合】森が海を育む

今年6月4日に行った恒例の植林活動では、多くの漁師と婦人部、職員家族が参加し、ナラや白樺の苗を無事に植えることが出来ました。この活動も十数年が過ぎ、初期の植林した苗はかなり大きな木となり、この森の一部に溶け込むような風景として広がりを見せています。

「自然を通して海を守る」とされるこの活動は結局の所、私達一人ひとりの生活や町の未来や子ども達の将来を守るために行います。そうでなければ十数年以上もコツコツ続けるには無理が出てきます。自然と人を未来「いつか」へ育て、継続するには大変な時間と年月が必要です。

みなさんが当組合の資源である水産物の購買活動を継続いただいている事もまた、この植林活動を含めて様々な場面で支えていただいていることに繋がります。改めて日頃のご支援に感謝申し上げます。

  

 植林活動を通して感じること 

  

「自然活動=長期継続」とは、続ける気持ちも自然に試され、初めて結果を知ります。自然をただただキープする事、また守る活動を拡大して行くには、それは気の長い根気が必要です。自然に人間が協力・共存する活動は失敗も多く重ねますので、人もまた失敗から自然を学習しつつ、寄り添い方を覚えて行くしかありません。

雄武漁業協同組合 大美光弘さん

ホタテ貝柱(生食用)

  

甘みと歯ごたえが良いオホーツク海の4年貝です。

公開:2024年7月1日
商品案内16号[2024年7月3回]掲載

国産派宣言の記事一覧